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それは蓄積だ。 [これから日本の話をしよう!]

今年の桜は、忙しくてゆっくりと楽しめなかった。関東の桜は散ってしまったが、東北はこれからが見所だろう。とはいえ、私自身が北上して花見を楽しむ時間もなし。

桜前線とれたて便(るるぶ)

日本人は桜好きだ。

色々な紋章に使われているし、私たちが毎日目にする百円玉硬貨の表の花も、桜だ。春を象徴し、パッと咲いて、サッと散る。その風流さは日本の精神に影響し、武士道にも通じるところがありそうだ。


では、これはいつ頃からだろうか?
昔から、日本人は桜が好きだったのか?


平安時代の古今和歌集を見ると、桜に関する歌が非常に多いらしい。

・世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし (在原業平)

在原業平といえば、美男子の代名詞だ。業平は、当時はど田舎であった東国、関東とも縁が深く、墨田区の業平橋(なりひらばし)をはじめとした業平橋が関東にはたくさんあるが、まぁそれは置いておこう。


古今和歌集に見るように、すでに平安時代には、桜は花の代名詞といっていいくらいの存在だった。


では、それ以前はどうだったのか。


平安時代より、ひとつ前の奈良時代。
その時代の歌を多く含む万葉集をみると、もっとも多く詠まれているのは萩の花で、桜は梅と比べても三分の一ほどの数しかないのだという。

参考:古今和歌集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)


古今和歌集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

古今和歌集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2007/04
  • メディア: 文庫



それが時代が流れ、桜の花に人気が移った。


和歌で詠まれ、桜の人気は更に高まったのかもしれない。
すると、桜の樹を植えようとする人が、増えるのかもしれない。

桜の樹が増えれば、桜を見る人も増えて、更に桜人気が高まったのかもしれない。
そうすると、かつては貴族やお偉方の行事だった花見を、庶民が楽しむ機会がずっと増えたのかもしれない。

桜はどんどん増える。
目にする機会も増える。

やがて、私たちは自然と、桜の花に風流を感じるようになる。



日本人だから、自然と、何の影響も受けずに、桜の花に魅せられるのか?

そうではないと思う。これは、過去から連綿と続く、何かの蓄積ゆえの結果だと思う。

貧乏舌なんて言葉もあるが、良いものに触れる機会がないと、その良さがわかりにくいモノなのかも知れない。私たちは桜に接する機会が頻繁にある。桜に対する感度は、萩や梅に比べて、圧倒的に高まるぅ~。

それは蓄積だ。
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