【本:天才を考察する】何かを達成することを願う人へ [読書]
このブログでも何度か途中経過を書いたけど、ようやく「天才を考察する: 「生まれか育ちか」論の嘘と本当 (ハヤカワ・ポピュラーサイエンス)」を読み終わりました。
いや、読み終わったというと少し語弊があるか・・・。言い直しましょう。
ほぼ、読み終わりました。
面白かったですよ~。
しかし、この本を読んだことで、私にとって「天才になること」のハードルはかなり上がってしまった気がする。
別に「天才」を狙っていたわけじゃないが、それにしても“自分の隠れた才能を見つけて、開花させたい”という淡い思いが、誰にでも少しはあるでしょう?
だけど、ハードルが上がってしまったわけだ。
と書くと、「はいはい、要するに努力が必要って言いたいんでしょ」と思うと思う。
しかし、そうではない。
そんな単純なことではないのだ。
色々と詳細を書く前に、私の本書に対する評価を言っておこう。
しかし、困ったことに私の中には複数の“私”がいるのだ。
その複数の私のそれぞれが、各々異なった評価をしている。
なので、それぞれの点数を書きたいと思う。
アマゾンのように5点満点で言うと・・・
・A(知的好奇心を求める、ウンチク好きのワタシ)・・・★★★★★
・B(子育てに興味のある、親としてのワタシ)・・・★★★★★
・C(今更ながら、もうひと花咲かせたいと願うワタシ)・・・★★★
・D(仕事人間の忙しいワタシ)・・・★★
・E(読書をしながらお手軽な自分探しをしているワタシ)・・・★
A 「いや~、面白かったよ。この本の半分が注釈というのがいいね。詳細がわかる」
E 「いやいや、注釈なんてもっと簡単でいいよ。半分で済んだはずじゃないか」
D 「確かに実質半分だよな。2600円は高い。1300円でよかったはずだ」
A 「でも著者は学者じゃなくてライターだからさ、信頼性を高めるためには詳細な出典と補足がほしい」
B 「私的にはどっちでもいいけど・・・。でも確かに半分なら新書でも良かったよね」
D 「新書じゃ翻訳のOKがでないだろう。てか、早川、新書ないし」
E 「いや、ハヤカワミステリあるだろ。まぁ、ハヤカワミステリじゃ無理か」
C 「まあ、でも内容は濃かったよね。才能は遺伝でもなければ、環境でもない。この認識はわかりそうでわからない」
A 「そうそう。よくスポーツの世界で、“同じくらい努力しても差が出る、それが才能の差だ”なんてね。それが間違いであることがわかった」
C 「同じ、じゃないんだよね。色々と」
D 「いや~、そこが問題でしょう。乳児どころか胎児までさかのぼって影響があるんじゃ・・・」
E 「そうそう。おまけに、地域や国の文化まで影響しちゃうんだから、絶望的だよね」
A 「そうではない。あくまで“才能を伸ばす”というレベルで考えれば、希望の方が大きい」
B 「私もそう思います。才能と環境の関係は、足し算ではなく掛け算なのだから」
A 「そう。本書は才能に制限をかけているのではなくて、むしろ制限を外そうという主張。やり直せないではなく、やり直すことができる」
E 「すんごく大変だけどね。よく言われる1万時間の法則あるじゃない」
C 「ああ、専門分野の習得に必要な訓練時間の目安でしょ?」
E 「そう。あれだって単純に1万時間を訓練に費やせばいいわけじゃないって、さりげなく書いてあるし」
A 「ああ、微妙にね。“1万時間の集中的訓練が並外れた成功の必要条件のひとつであるらしいことを認めたにすぎない”(p89)」
C 「そうだねぇ。1日3時間で10年続ければ天才になれると思ってたから・・・」
E 「単に努力しているだけじゃ、ダメってことだな」
B 「子育てい感心のある私としては、ノープロブレムですけどね」
A 「宝庫だよね。子育ての」
B 「読み聞かせをして、肯定して、たくさん話しかけてあげて・・・あと、マシュマロを我慢させるんでしたっけ?」
C 「粘り強さね。能力向上に不可欠な“満足延期”の技能は、習得可能なスキルである、という」
A 「頭の才能だけでなく、身長にも言及されていたよね。子供に必要な栄養素がいくつとか。詳細は書かれていないけど」
B 「とにかく、親ができることも並べて書かれているので、本当に勉強になりました」
E 「子供はいいよね。可能性は無限大で」
D 「ただ、本当に伸ばしたいと思うのなら、環境も大事。師にも恵まれないとね。こりゃ親は大変だ」
E 「そのために、我々の能力開花が必要となるわけです」
C 「大人の能力開花で考えると、子供ほど具体的に書かれていないよね」
A 「それについては、私は“究極の鍛錬”を勧めたい」
E 「読んだの?」
A 「・・・読んでない」
E 「ダメじゃん!」
とまぁ、こんな感じである。概要は伝わっただろうか?
本書を読むと、才能論(?)について一通りのことがわかる。
また、子育てについても多くの示唆がある。
しかし、「才能って、●●なんだって」と言われると、特に目新しさが感じられない。子育ての実験などに関することも、すでに幾つかの本でも取り上げられている。
その科学が成功を決める
しかし、本質的なことを理解できているかというと、結構な隔たりがあると思う。それを理解するのに、本書は役に立つと思う。
野球界の伝説、テッド・ウィリアム、かの有名なマイケルジョーダン、モーツァルトやベートーベン、ダ・ヴィンチやミケランジェロなどの例。
一覧性双生児についての研究、民族や人種についての考察、日本人バイオリニスト鈴木鎮一の「母語教育法」や子供に関する多くの研究、IQに対する誤解と、「生まれ化育ち」の考え方のふの局面など、様々なことが書かれている。
知的好奇心を刺激してくれるのと同時に、勇気づけられもするだろう。
本書は、誰にお勧めか。
まずは、子育てを考えいるひとだ。
親か、教育者か、その関係者。
そして、何かを達成することを切に願っている人、だ。
著者の言葉を引用して締めくくろう。
以下、引用。
本書は、従来のいわゆる天才に関する本ではない。
「あなたのシェイクスピアのようになれる」といった類のハウツー本ではないし、自分の潜在能力を探りあてる秘訣を伝えるものでもない。
本書は、どんな分野のどんなレベルであれ、何かを達成することを切に願っている人へ呼びかける試みである。
生まれつきの才能の発見にとりつかれた世の中で、本書にまとめられた証拠の数々は、気分を爽快にしてくれる。
「持って生まれた不変の資質」から、「構築することも可能な、つねに発達し続ける資質」への発送の転換を促すのである。
いや、読み終わったというと少し語弊があるか・・・。言い直しましょう。
ほぼ、読み終わりました。
天才を考察する: 「生まれか育ちか」論の嘘と本当 (ハヤカワ・ポピュラーサイエンス)
- 作者: デイヴィッド シェンク
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/09/21
- メディア: 単行本
面白かったですよ~。
しかし、この本を読んだことで、私にとって「天才になること」のハードルはかなり上がってしまった気がする。
別に「天才」を狙っていたわけじゃないが、それにしても“自分の隠れた才能を見つけて、開花させたい”という淡い思いが、誰にでも少しはあるでしょう?
だけど、ハードルが上がってしまったわけだ。
と書くと、「はいはい、要するに努力が必要って言いたいんでしょ」と思うと思う。
しかし、そうではない。
そんな単純なことではないのだ。
色々と詳細を書く前に、私の本書に対する評価を言っておこう。
しかし、困ったことに私の中には複数の“私”がいるのだ。
その複数の私のそれぞれが、各々異なった評価をしている。
なので、それぞれの点数を書きたいと思う。
アマゾンのように5点満点で言うと・・・
・A(知的好奇心を求める、ウンチク好きのワタシ)・・・★★★★★
・B(子育てに興味のある、親としてのワタシ)・・・★★★★★
・C(今更ながら、もうひと花咲かせたいと願うワタシ)・・・★★★
・D(仕事人間の忙しいワタシ)・・・★★
・E(読書をしながらお手軽な自分探しをしているワタシ)・・・★
A 「いや~、面白かったよ。この本の半分が注釈というのがいいね。詳細がわかる」
E 「いやいや、注釈なんてもっと簡単でいいよ。半分で済んだはずじゃないか」
D 「確かに実質半分だよな。2600円は高い。1300円でよかったはずだ」
A 「でも著者は学者じゃなくてライターだからさ、信頼性を高めるためには詳細な出典と補足がほしい」
B 「私的にはどっちでもいいけど・・・。でも確かに半分なら新書でも良かったよね」
D 「新書じゃ翻訳のOKがでないだろう。てか、早川、新書ないし」
E 「いや、ハヤカワミステリあるだろ。まぁ、ハヤカワミステリじゃ無理か」
C 「まあ、でも内容は濃かったよね。才能は遺伝でもなければ、環境でもない。この認識はわかりそうでわからない」
A 「そうそう。よくスポーツの世界で、“同じくらい努力しても差が出る、それが才能の差だ”なんてね。それが間違いであることがわかった」
C 「同じ、じゃないんだよね。色々と」
D 「いや~、そこが問題でしょう。乳児どころか胎児までさかのぼって影響があるんじゃ・・・」
E 「そうそう。おまけに、地域や国の文化まで影響しちゃうんだから、絶望的だよね」
A 「そうではない。あくまで“才能を伸ばす”というレベルで考えれば、希望の方が大きい」
B 「私もそう思います。才能と環境の関係は、足し算ではなく掛け算なのだから」
A 「そう。本書は才能に制限をかけているのではなくて、むしろ制限を外そうという主張。やり直せないではなく、やり直すことができる」
E 「すんごく大変だけどね。よく言われる1万時間の法則あるじゃない」
C 「ああ、専門分野の習得に必要な訓練時間の目安でしょ?」
E 「そう。あれだって単純に1万時間を訓練に費やせばいいわけじゃないって、さりげなく書いてあるし」
A 「ああ、微妙にね。“1万時間の集中的訓練が並外れた成功の必要条件のひとつであるらしいことを認めたにすぎない”(p89)」
C 「そうだねぇ。1日3時間で10年続ければ天才になれると思ってたから・・・」
E 「単に努力しているだけじゃ、ダメってことだな」
B 「子育てい感心のある私としては、ノープロブレムですけどね」
A 「宝庫だよね。子育ての」
B 「読み聞かせをして、肯定して、たくさん話しかけてあげて・・・あと、マシュマロを我慢させるんでしたっけ?」
C 「粘り強さね。能力向上に不可欠な“満足延期”の技能は、習得可能なスキルである、という」
A 「頭の才能だけでなく、身長にも言及されていたよね。子供に必要な栄養素がいくつとか。詳細は書かれていないけど」
B 「とにかく、親ができることも並べて書かれているので、本当に勉強になりました」
E 「子供はいいよね。可能性は無限大で」
D 「ただ、本当に伸ばしたいと思うのなら、環境も大事。師にも恵まれないとね。こりゃ親は大変だ」
E 「そのために、我々の能力開花が必要となるわけです」
C 「大人の能力開花で考えると、子供ほど具体的に書かれていないよね」
A 「それについては、私は“究極の鍛錬”を勧めたい」
E 「読んだの?」
A 「・・・読んでない」
E 「ダメじゃん!」
とまぁ、こんな感じである。概要は伝わっただろうか?
本書を読むと、才能論(?)について一通りのことがわかる。
また、子育てについても多くの示唆がある。
しかし、「才能って、●●なんだって」と言われると、特に目新しさが感じられない。子育ての実験などに関することも、すでに幾つかの本でも取り上げられている。
その科学が成功を決める
しかし、本質的なことを理解できているかというと、結構な隔たりがあると思う。それを理解するのに、本書は役に立つと思う。
野球界の伝説、テッド・ウィリアム、かの有名なマイケルジョーダン、モーツァルトやベートーベン、ダ・ヴィンチやミケランジェロなどの例。
一覧性双生児についての研究、民族や人種についての考察、日本人バイオリニスト鈴木鎮一の「母語教育法」や子供に関する多くの研究、IQに対する誤解と、「生まれ化育ち」の考え方のふの局面など、様々なことが書かれている。
知的好奇心を刺激してくれるのと同時に、勇気づけられもするだろう。
本書は、誰にお勧めか。
まずは、子育てを考えいるひとだ。
親か、教育者か、その関係者。
そして、何かを達成することを切に願っている人、だ。
著者の言葉を引用して締めくくろう。
以下、引用。
本書は、従来のいわゆる天才に関する本ではない。
「あなたのシェイクスピアのようになれる」といった類のハウツー本ではないし、自分の潜在能力を探りあてる秘訣を伝えるものでもない。
本書は、どんな分野のどんなレベルであれ、何かを達成することを切に願っている人へ呼びかける試みである。
生まれつきの才能の発見にとりつかれた世の中で、本書にまとめられた証拠の数々は、気分を爽快にしてくれる。
「持って生まれた不変の資質」から、「構築することも可能な、つねに発達し続ける資質」への発送の転換を促すのである。
天才を考察する: 「生まれか育ちか」論の嘘と本当 (ハヤカワ・ポピュラーサイエンス)
- 作者: デイヴィッド シェンク
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/09/21
- メディア: 単行本
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