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【ちょっと読書】 比較文化論の試み [読書]

臨在感という言葉をご存知だろうか?
今回は私たち自身を見つめなおすのに格好の本を紹介したいと思う。

比較文化論の試み (講談社学術文庫 48)

比較文化論の試み (講談社学術文庫 48)

  • 作者: 山本 七平
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1976/06/07
  • メディア: 文庫


100ページ弱で、講義をベースにした口述式で書かれているため、読むのに苦労しない。
私的には多少難しい個所もあったが、そう時間をかけずに読了。何度も読み返したくなる本だ。


“臨在感”という言葉を知ることができただけでも、価格分の元手がとれたと思う。


臨在感とは、ある対象の背後に何かが臨在するという感じで、例えば私たちが古社や桜を見て何かを感じる、そんなようなもの。
これは民族によって異なるらしい。少し前に、ごみ投棄や散歩犬の糞防止のために、畑や道路に小さな鳥居を置く、というのが流行った。アレなんかも我々日本人が感じる臨在感の効果であって、外国の人が見ても何も感じないかもしれない。


本書は30年ほど前の本だが、いまだ共通するところが多いと思う。
例えば本書でふれられている、感情移入についての考察。

「そこにいるのは相手ではなくて自分なんです。~自分の感情を相手に移入してしまってそれを充足する。それを相手への同情ないしは共感とみなす・・・」

これはよく言われるシンパシーとエンパシーの違いかな、と思った。現代の日本人はシンパシー(感情移入)は得意だが、エンパシー(自己移入)は苦手らしい。どちらも共感に通じる。しかし、シンパシーは物事に対する価値観を同一にする集団では適用されるものの、価値観が異なるなかにおいてはうまく機能しない。価値観が異なる状況下においては、エンパシーの能力が必要になる。

(ちなみにエンパシーでググると、なにやらスピリチュアル的なものに多く出くわすが、私の言いたいのはそれとは違う)


これは、似ているように見えて文化がかなり異なる中国や韓国、ロシアという立地に対面している日本にとって・・・

また、原発問題で感情面の対立が起こっている国内においても・・・

今後、重要なキーワードになると思う。

やや本書の話からずれてしまった。上記の私の意見には、北川氏の考え方に影響されている部分があることを追記しておく。

対話流―未来を生みだすコミュニケーション

対話流―未来を生みだすコミュニケーション

  • 作者: 清宮 普美代
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 2009/07
  • メディア: 単行本



山本七平の本は、日本人とはどういった文化を、価値観を、歴史を持っているのか、深く掘り下げてくれる。私たち自身について知らなければ、対話も不可能であるし、いくらグローバル化といってもあやふやに流され続けるだけだろう。

昨今、諸外国との間で、或いは震災の影響で、日本人のアイデンティティを揺るがす、または刺激する出来事が増えている。
いまこそ、私たち自身を見つめ直す時期だと思う。

比較文化論の試み (講談社学術文庫 48)

比較文化論の試み (講談社学術文庫 48)

  • 作者: 山本 七平
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1976/06/07
  • メディア: 文庫



対話流―未来を生みだすコミュニケーション

対話流―未来を生みだすコミュニケーション

  • 作者: 清宮 普美代
  • 出版社/メーカー: 三省堂
  • 発売日: 2009/07
  • メディア: 単行本



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