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嘘を1つ2つ混ぜるとどうなるか [雑談]

ここで何度か紹介している「政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること 角川SSC新書」だが、実のところ、正直言うと、あまり著者のことが好きになれない。

だから著者のベストセラーで高評価の「ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)」も読んだことがない。彼女について読んだのはこの「政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること 角川SSC新書」のみだけである。基本的に、彼女の書く本の内容、方向性やテーマがあまり好きではない。彼女の周辺にいる人(本)も同様である。


なので書店に並んでいるのは以前から気がついていたが、ずっと素通りしていた。目次すら見なかった。しかし手をとったのは、リビアや「アラブの春」について書かれている本だ、という情報を入手したからである。そう、この昨年あたりから起こっていた北アフリカ・中東での異変は、ずっと気になっていたのだ。


まぁ、それは置いておこう。


本書の前半は主に3.11以降の原発問題を中心としている。政府がいかに嘘をついていたか、情報をかくしていたか、そのような事が書かれている。そう書く割に、著者は著者で裏づけや実証が少ないのではないかと思うのだが、確かにあの時、政府が情報をオープンにしなかったのは事実だと思う。そこから生まれた不信感、原発ムラという閉鎖的な集団のこれまでの不誠実さがあらわになったことが、今にいたる必要以上の原発への拒絶反応の源になっていると思う。


本書ではアメリカ国内での教育改革(落ちこぼれ0法案の失敗)やウォール街デモ、中東に関する日本や西欧では報道されない事実などが展開されていく。


私が非常に怖いと思ったのは、ウォール街(格差)デモに関しての記述だ。ウォール街のデモにしろ、中東のデモにしろ、ここに、この集団の意志とは異なるヒトと金が入り込んでいる。そして、うまくコントロールされてしまっている。


信頼というのは、よく言われることだが、築くのは非常に難しいが崩壊するのは一瞬である。


或いは、10個の真実の中に、嘘を1つ2つ混ぜれば、途端に信頼性は損なわれていく。伊坂幸太郎さんの「モダンタイムス(上) (講談社文庫)」では、ネット上で、あらぬ中傷をばら撒かれた人がでてくる。その人を救うためにはどうしたらいいか。
同じような中傷をばら撒くのだ。明らかに嘘とわかるような極端な中傷を、たくさん流す。それを見ている人は、次第に馬鹿らしくなってくる。


伊坂氏の小説では逆パターンのことが行われたのだが、しかし、格差デモに対して似たような介入があったのではないか、とそう思わされる。もしかしたら原発問題にもあるのかもしれない。


ともかく、「政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること 角川SSC新書」の内容をどこまで鵜呑みにしていいのかはわからない。下手をするとくだらない陰謀論を助長しかねないし、そういったものはあまり好きでない。しかし本書の内容が私たちにとって重要な指摘であることは違いないと思う。
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