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消え行く説話 [これから日本の話をしよう!]

私は説話や伝承が好きで、時間があれば収集して歩いている。
収集の方法というのはいくつかあると思うのだが、素人である私の場合は、図書館で本を読んだり、その地域の人に聞いたりというところが主だった方法だ。


私の場合、あまりメジャーな伝説系は扱わない。
さして有名な寺社や観光歴史資源があるわけでもない、普通の町の説話を集めている。こういう町の人は、自分の町の歴史にあまり興味を持たないことが多い。しかし、そんな町でも、昔から伝わる話というのは結構あるものなのですよ。


そんな私がリスペクトするのは、やっぱり柳田国男さんだなぁ。各地の伝説を収集され考察された「日本の伝説 (新潮文庫 や 15-2)」は、文庫本でページ数は少ないのだが中身が濃い。

日本の伝説 (新潮文庫 や 15-2)

日本の伝説 (新潮文庫 や 15-2)

  • 作者: 柳田 国男
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1977/01
  • メディア: 文庫


面白いもので、伝説や伝承といった類のものは、色々な地域に同じようなものが広がっている。似た話が各地にあるのだ。「日本の伝説 (新潮文庫 や 15-2)」を読むとよくわかる。この“似た話の分布”が何を指し示しているのかわからない。が、似た話の中で滲み出てくる差異に、その地域の特色なり、或いはオリジナルの出来事の秘密が隠されているのではないか、と感じる。


地域の伝承をさがすにあたり、古い資料にあたることはよくある。しかし、最近気がついたのだが、時代によって伝わる話が変化する。例えばある1つの説話に、2つの話が盛り込まれていたとする。それがやがて、1つの話だけしか残らない、ということがある。消えて忘れ去られてしまう説話というのは、結構あるのではないか。


歴史・観光的にマイナーな地域では、説話のほとんどは口承で残ってきたと思う。その中のいくつかは、紙に記された。紙に記録されなかった説話は・・・。

時代が流れ、紙に記された説話のいくつかが、改めて紙に記される。そこから漏れた説話は・・・。

いま、インターネットに多くの説話が残されている。しかし、全てだとは限らない。私が実地で集めている説話の多くは、ネット上では見つからない。では、検索されない説話は・・・。


娯楽の多様化なのか、核家族の影響なのかわからないが、今、古い世代が新しい世代に、口承で地域の話を伝える機会が減っているように思う。新しい世代は興味も関心もないかもしれない。
では、口承されなくなった説話は・・・消えることになるんだろうな。

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