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戦後史の正体を読んでみた。更に、夜の国と魔王について考えてみる。 [読書]

少し前にこのブログで、戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)という本について触れた。
・話題の「戦後史の正体」

随分と話題になっている本だ。
アマゾンのランキングでも、しばらく総合ベスト10内をキープしていた。
アマゾンで注文しようかと思ったが、すぐに手に取りたいという気持ちもある。2~3店、書店をまわっても置いてなく、あと1店まわってなかったら諦めようと思ったところ、その本屋には大量に置かれていた。

あるところにはあるものだ。


初版買いに微妙にこだわる私。
奥付を見ると初版であり、ちょっぴりニンマリ。

ついている。

さっそく購入し、すぐに引き込まれる。

2~3日前に読了した。

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)

  • 作者: 孫崎 享
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2012/07/24
  • メディア: 単行本



面白かった。

実は私、戦後史にあまり興味がない。

読んだとしても戦中くらいまでで、戦後はちょっと苦手だった。
戦後というと、私の中では歴史ではなく、学校の科目でいうと“社会”の範疇に入る。こういっては何だが、登場する人物達もどこか現実っぽくてつまらない。

戦後であれば、どちらかというと政治関係よりも、企業関係の方が面白そうだ。そう思っていた。


いやいやいや、戦後史、面白いじゃないか。


登場人物たちも、ずいぶんと魅力的だった。

石橋湛山(この人は以前から好きだが)、重光葵、岸信介、芦田均、鳩山一郎・・・
今までの評価が一変した。

この本を読んでいると、現在の日本の成り立ちが見えてくる。
本書でも引用されていたE・H・カーの「歴史とは現在と過去との対話である」という言葉。

まさに、過去の歴史を勉強し、知っていく中で、現在を読み解いていくことができる。


知らなかったこと、知っているつもりで全然わかっていなかったこと、色々のことを知ることができた。


本書は、、【これまでほとんど語られることのなかった「米国からの圧力」】を軸に、日本の戦後史を読み解く。


私自身、ずっと不思議に思っていたことがある。


つい半世紀前に、世界で始めて、しかも2度も原爆を落とされた日本。
鬼畜と読んでいたアメリカに原爆を落とされ、その傷跡はいまだに残っている。
日本の歴史上、これだけ多くの日本人を傷つけ殺戮した国と言うのは、ないのではないか?
遠い昔のことではない。その犠牲者達は、今でも生き残っている。

ところが。

今の私達の、このアメリカとの新密度、アメリカに対する信頼関係はどうだろう?

同じく先の戦争で敵対していた中国、ロシアと異なり、我々の多くはアメリカを“こっち側”だとみなしている。


なぜこんなにも、我々日本人はアメリカを受け入れるのか。

その理由の一端を、本書から掴んで欲しい。


そういえば、この本を読みながら、少し前に読んだ小説、「夜の国のクーパーを思い出した。

夜の国のクーパー

夜の国のクーパー

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/05/30
  • メディア: 単行本


クーパーは伊坂幸太郎さんの最近出た小説だ。

ほんの少しだけ内容に触れるので、

ネタばれ厳禁の人は以下を読まないでくれ。


さて。


この小説のなかで、ある王様が出てくる。
この王様は国民の信頼もあつく尊敬されているのだが、実はこの王様、国民を裏切っていた。国民の前ではいい王様の演技をしていただけで、実は大国のいいなり。危機を煽り、しかし実は全てが嘘だった。


・・・そういう話が出てくる。

あれは、もしかして・・・。


伊坂さんの小説は-これは私の勘ぐり過ぎなのかもしれないが-色々と連想させるようなものがあって、実はこんなことを言いたいんじゃないかと、私は勝手に推測して楽しんでいる。

以前の作品に魔王 (講談社文庫)という作品があるのだが、この本の内容は非常に不穏なものだった。
魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/09/12
  • メディア: 文庫


国民が若くカリスマ性のある政治家に煽られ、熱狂していく過程、そしてファシズムについて書かれているのだが、私は勝手に、別のことを考えていた。

この小説は、宮沢賢治の詩を使っている。宮沢賢治といえば法華経、昭和ファシズムで法華経は隠れた重要なキーワードだ。その関連で、石原莞爾(石橋湛山じゃないよ)がいる・・・。


なんて、考えを飛躍して私は伊坂小説を楽しんでいる。


その楽しみ方で行くと、やはりクーパーに出てくる王様と国民、そして大国との関係は、もしかして日米戦後史を示しているのではないか、と、私は想像して楽しむ。

そう、作中でもこんなセリフが出てくる。


「何が正しくて、何が誤っているのか、自分で判断しろ。それが重要だ」


私達は、あまりにもぼけっと過ごしすぎていないか。


手軽で安くて美味いファストフードを用意され、喰っちゃ太り、
映画やテレビなどの娯楽、スポーツや祭典、性風俗の解禁(3Sだな)、

経済も軍事も、アメリカにおんぶで抱っこなら安心か。

日本にとっての国際政治は、アメリカとの関係だけなのか。

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)は、かつて志をもって日本の自立を考えた、多くの先人を紹介してくれる。


そのうえで、今一度考えるのだ。

本書の内容をそのまま丸呑みして、復唱するだけじゃダメだ。
ここから始めるのだ。知ることと、考えることを。


そして、日本にとっての、外交の最善策を。

どのような国になるのかを。

私達の生き方を。

何が大切で、どうすべきなのかを。

「何が正しくて、何が誤っているのか、自分で判断しろ。それが重要だ」

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)

  • 作者: 孫崎 享
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2012/07/24
  • メディア: 単行本



その機会として、本書をお勧めする。
読了してからの意見は、それぞれだろう。それでいいと思うし、そうあるべきだと思う。


ところで、先に紹介した小説魔王 (講談社文庫)だが、実は漫画化もされている。

魔王だけでなく伊坂作品の色々な要素を入れて、それこそ漫画らしくなっているのだが、その内容たるやものすごい。もう1つの魔王として、しかし伊坂さんのエッセンスを消さずに、完璧にその存在感をあらわしている。ただの漫画化ではない。

レビューを読めばわかるでしょう。これも、お勧め。

魔王 1―JUVENILE REMIX (少年サンデーコミックス)


魔王 1―JUVENILE REMIX (少年サンデーコミックス)

魔王 1―JUVENILE REMIX (少年サンデーコミックス)

  • 作者: 大須賀 めぐみ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/11/16
  • メディア: コミック


全10巻。
在庫がなくなる前に、読んでみるべし。

おそらくあなたは、度肝をぬかれるだろう。

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