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聖家族と火焔 [読書]

冬は何げに読書の季節だ。
年末年始に、重厚な長編小説を読むべきか。それとも、手軽な短編集を読むべきか。

時間があるのであれば、長編小説をおすすめしたい。

短編ならいつでも読めるからね。

今回は東北にフォーカスして、何冊か紹介しよう。

聖家族


聖家族

聖家族

  • 作者: 古川 日出男
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/09/26
  • メディア: 単行本


もうこれは、すごい実験的小説。
そして、長い・・・。
分厚い。
こんなのは通勤通学電車では無理!持ち運び不可ですよ。
内容紹介はアマゾンから引用しよう。
「異能の者を輩出しつづける青森の名家・狗塚家。平成X年現在、孫たちは三人。半ば人ならざる存在の長男・牛一郎。死刑囚となった次男・羊二郎。胎児と交信する妹・カナリア。「異能の者」とは何か?「天狗」とは?「家族」とは?「故郷」とは?「日本」とは?排除され流亡せざるをえなかった者たちが、本州の果て・東北の地で七百年にわたり繋いで来た「血」と「記憶」。生の呪縛と未来という祝福を描く、異形の超大作。 」

異形・異色の作品であることは間違いない。

じゃあ面白いのか?
それが微妙なのである。面白いのとは違う。

文章も物語の展開の仕方も癖があり、何が何だかわからんくなる。

しかし、そんな作品を私は貪るように読み、熱中した。読後もしばらく頭の中を占拠され、いわばとり憑かれたようなものだった。

歴史小説ではない。民俗学的な、地方の因習を扱った小説ではない。ミステリーではないし、ファンタジーでもホラーでもない。

「妄想の東北史」である。

何だろう、この小説は。
時間のある時にしか、読めない作品だ。おそらく人生でこの小説を読む機会は、そう多くない。アマゾンのレビューでも読んで気になったら、せっかくだから一度読んで見ることをお勧めする。

次。

火怨 上 北の燿星アテルイ (講談社文庫)


火怨 上 北の燿星アテルイ (講談社文庫)

火怨 上 北の燿星アテルイ (講談社文庫)

  • 作者: 高橋 克彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/10/16
  • メディア: 文庫


先日も紹介したが、蝦夷の英雄アテルイを主人公にした歴史小説。
これは面白いし、年明け以降にNHKでドラマ化される。

蝦夷というと、「東北以外の人には関係ない」と、そう思うかもしれない。

だが、それは間違っている。

蝦夷の人々は俘囚といって、囚われて各地に住まわされた。

また一方、ヤマト朝廷に属する国の人々も、兵として東北に連れて行かれたり、移住させられたりした。

あなたの祖先が、どういう遍歴によって現在の土地に住み始めたのかなんて、わからない。ずっと武士の家系だと思っていても、父親の母親の父の母の母の父の、そのまた父は養子として他家から来たのかもしれないのだ。

さて、このアテルイの物語の面白いところは、彼らの熱い姿にある。千年以上前に起きた東北を中心とする戦い。消えてなくなりそうだったこの英雄を現代に蘇らせた高橋克彦氏は偉いと思う。

吉川英治文学賞を受賞した長編小説。上下巻。読みやすく歴史小説に馴染みのない人でも大丈夫。この冬ぜひ。
タグ:聖家族 火怨
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