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妄想の東北史 [これから日本の話をしよう!]

昔の日本の馬と言うのは蒙古馬といって、馬と聞いて私たちが想像するようなサラブレッドとは異なり、かなり小さい馬だったらしい。体長は1.3メートルほどというから、背の高い人がのったら、足がついてしまう。

つまり、映画やドラマで見る昔の馬・・・例えば暴れん坊将軍なんてのは(白いサラブレッドに乗っていた)、まったくの見当違いということになる。言い過ぎか。しかし少なくとも、見た目のイメージはまったく異なる。


いま、この日本の在来馬は絶滅が危ぶまれているらしい。なぜなら、明治以降になって、洋種の馬がやってきて、その座を奪われたからだ。


この日本伝統の在来馬について書かれていた、印象的な小説を思い出す。
この小説の主テーマは、馬ではない。だから、日本の馬について書かれているのは一部分だ。が、馬について非常に印象的に描かれていた。内容にはふれない。内容には触れにくい、難しい小説でもある。


聖家族

聖家族

  • 作者: 古川 日出男
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/09/26
  • メディア: 単行本



あらすじを、アマゾンから引用しよう。

~異能の者を輩出しつづける青森の名家・狗塚家。平成X年現在、孫たちは三人。半ば人ならざる存在の長男・牛一郎。死刑囚となった次男・羊二郎。胎児と交信する妹・カナリア。「異能の者」とは何か?「天狗」とは?「家族」とは?「故郷」とは?「日本」とは?排除され流亡せざるをえなかった者たちが、本州の果て・東北の地で七百年にわたり繋いで来た「血」と「記憶」。生の呪縛と未来という祝福を描く、異形の超大作。~

この小説は評価が難しい。
アマゾンのレビューでも眺めていただければわかると思うが、実験的要素が強く、クセがあり、さらにやっかいなことに、とても分厚い。744ページもある。満員の通勤電車では読めないだろう。


この「聖家族」は、“妄想の東北史”である。この妄想に、私は虜になり、とりつかれたように夢中になり、読んだ。当初、私は東北の秘められた歴史、例えばアラハバキ信仰であるとか、古代信仰のようなことが書かれているのかと期待したのだが、そうではなかった。いい意味で期待を裏切られた。確かに妄想の東北史だ。面白い。まるで迷路に迷い込んでしまったかのように、幻惑的な語り口にやられる。


とても万人に受けるとは思えないので買うには要注意と言いたいが、勇気のある暇人にはぜひ手にとってほしい。


ちなみに、本書には続編がある。続編といったら、少し違うか。
あの東日本大震災により書かれた本が、これだ。

馬たちよ、それでも光は無垢で

馬たちよ、それでも光は無垢で

  • 作者: 古川 日出男
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/07
  • メディア: 単行本


馬と言うテーマでは、こちらのほうがあっているかもしれない。私は未読なので、内容に関しては、なんとも・・・。
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