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無遠慮 [これから日本の話をしよう!]

口論のすえに刃物で刺した事件の容疑者が捕まった。この事件は駅のエスカレーターでぶつかったことを発端だった。


世の中、イライラが蔓延している。


駅や混みあった場所を歩いていて感じることがある。
スマートフォンを見ながら歩いている人や、イヤフォンをつけている人の多くは、正直、邪魔だ。

人間はマルチタスクが苦手だというのは本当だと思う。人は一度に複数のことをやるより、1つのことに集中したほうが高いパフォーマンスが発揮できる。視覚や聴覚が他に気をとられていると、周囲の状況にうとくなるし、歩きがおろそかになる。人ごみでは尚更で、恐らく本人たちが思っている以上に、人の流れに乗れていない。



世の中、イラッと来ることが多い。自戒もこめて、この件について考えてみよう。

七つの習慣という超世界的ベストセラーがある。

7つの習慣―成功には原則があった!

7つの習慣―成功には原則があった!

  • 作者: スティーブン・R. コヴィー
  • 出版社/メーカー: キングベアー出版
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 単行本


7つの習慣―成功には原則があった!

この本のなかに、こんなエピソードがある。

著者のコビー博士の体験だ。



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ある日、地下鉄に乗っているときのことだ。

車内はとても静かだった。

その静寂が破られたのは、父親とおぼしき1人の男性と、その子供達が乗り込んできてからだった。

子供達は大声を出したり暴れたりと大騒ぎ、一瞬にして車内は騒々しくなった。

父親はと言うと、座席に座り、目を閉じているだけで、注意しようともしない。

コビー博士は次第にイライラがつのった。
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これはよく見かける光景だ。

コビー博士のように、電車内でも、あるいはファミリーレストランなどでも、道端でもショッピングセンターでも見かける。


騒ぐ子供達と、放置する親、という構図だ。さて、コビー博士はどんな行動をとったのか。


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コビー博士は我慢できなくなり、子供達を注意しようともしない父親に言った。

「あなたの子供達が騒いでいて、みんな迷惑していますよ。なぜ注意しないんですか?」

すると、父親は目を開け、まるで初めて周囲の様子に気がついた様子で、こういった。

「ああ、そうですね、なんとかしないと・・・。
 
 実はたった今、病院から出てきたところなんです。

 一時間ほど前に妻が、あの子たちの母親が亡くなったものですから、すみません。

 いったいどうすればいいか・・・あの子たちも混乱しているようで・・・」
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以上の話は、パラダイム転換の話として紹介されている。パラダイム転換(変換?)は、ものの見方や考え方が大きく変わることをさしている。興味のある人は読んでみるといい。

7つの習慣―成功には原則があった!

さて、私達は相手を気遣うということが、苦手になっている。

朝の満員電車で足を踏まれた。カバンがぶつかった。肩が触れた。

そんな時。

「何か理由があるのかな?
「きっと、忙しくて大変なんだろうな」
「ムシャクシャすることでもあったのかな?」

な~んて思う余裕なんて、まったくない。


最近、ある高額所得の芸能人の母親が、生活保護費を不正受給していたのではないかとのニュースを見かけた。

事の真相はわからない。そして私はこの件について深くはしらない。が、きっとこの親が言うだろうことは、想像できる。「息子に迷惑をかけたくなかった」。この芸能人の親はそんなことは言っていないかもしれない。しかし、このようなことを言っている人を身近で見たことがある。家族には迷惑をかけられない。


この言葉は、かつては、こういう使われ方もしていたはずだ。

「世間様に迷惑をかけちゃいけない」


少し前にこのブログでも紹介したが、村八分と言う言葉がある。地域の生活における共同行為のうち、2つ分を除いて8つ分をはじくので、村八分。

はじかれるのは、
成人式、結婚式、出産、病気の世話、新改築の手伝い、水害時の世話、年忌法要、旅行。

はじかれないのは、共同体に影響のある2つ。
葬式、火事。


日本の昔は、セーフティーは地域の共同体だった。生活が厳しくなれば、周囲の人々に頼らざるを得なかった。ところが今は、地縁なんてほとんどない。助けてくれるのは国、自治体。顔の見えない人たちが、制度として、事務作業的に、助けてくれる。

必要な人に救いの手が伸びないという矛盾も生じているようだが、その反対に、不必要に制度を“活用”する輩もでている。個の時代とは、こういうことなのだろうか。


縁がなければ、無遠慮になる。

縁が遠くなって、慮る(おもんばかる・・・思い巡らす)ことが無くなる、ということだ。


満員電車でもエスカレーターでも、社会のセーフティーでも、根っこは同じであるように見える。
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