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愛は何を救うつもりだ [雑談]

ヤフーの記事(とか言いながら、ネタ元はBusiness Media 誠のようだ)に、こんなのが載っていた。

・“カワイイ”が自然を殺す、北海道で見た人間の残酷さ

少し転載しよう。

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相場英雄の時事日想:
 今月初旬、新作漫画の取材のため、私は北海道を自家用車で走り回った。ウマい食べ物や広大な自然を満喫する中、1つだけ強烈な違和感にとらわれた瞬間があった。違和感の根源は、キタキツネ。北海道観光のガイドブックなどでお馴染みの野生動物だが、彼らの姿を通して、私は人間の残酷な一面を垣間みた。道民の皆さんには馴染みのある話題かもしれない。だが、1人の旅行者として大きな驚きを感じたので記してみる。

(中略)
バスは私と同じように停車した。だが、次の瞬間、数人の観光客が窓からなにかを投げたのが見えた。スナック菓子か、あるいは果物か。判別はできなかったが、子狐は懸命に路面に落ちたエサを追っていた。

(中略)
キタキツネと遭遇した日の夕刻、私は釧路湿原に近い民宿に入った。ロビーの書架には、湿原の野生動物を撮った写真集が入っていた。女将さんにこの日接した事柄を話してみた。話を切り出した途端、女将さんが顔をしかめた。「お客さんみたいに感じてくれる観光客は残念ながら少数派です」

 聞けば、この宿に泊まる客のうち、相当な数の人がキタキツネに遭遇した際、エサをあげてしまうのだという。

 「キタキツネは本来肉食性なので、スナック菓子やおにぎりで体を壊してしまう個体が多くて」

 本来、キタキツネは野鼠などを食べているという。だが人間が食べるスナック菓子は塩分や糖分が強く、キタキツネにとっては下剤に近い刺激の強い食物だとか。

 「疥癬(かいせん)と言う皮膚病にかかって、毛が抜けてしまうキツネが最近急増中です」

 この病気にかかれば、毛が抜け落ち、やせ細ってしまうという。
女将さんの表情がさらに曇った。私が道東を訪れたのは8月初旬。首都圏は連日猛暑日を記録していたが、この地は20度程度。朝晩は15度以下になる。冬はいうまでもなく氷点下であり、マイナス20度超の日が続く。

 こうした過酷な冬の時期に、毛が抜けてしまったキタキツネがどうなるかは想像に難くない。

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以上、引用終わり。


さて、人間と野生動物のあいだには境界線があり、人の住む場所に野生動物が降りてきた場合、捕獲されるか駆除される。

しかし、その逆はない。

人間は野生動物の世界に、その気さえあれば簡単に入ることができ、捕獲または駆除されることはない。ラインを超えるのは簡単だ。


それでも昔は、一定のラインが引かれていた。好き好んで山に入り込む人間はいないし、入り込むのだとしたら理由があった。

しかし、今は観光で気軽に入りこめてしまう。


先日、例年のごとく放送されている二十何時間だかのテレビで、屋久杉を目指すという企画が行われた、らしい(見ていない)。その際に、本来立入禁止のはずの屋久島・縄文杉裏に撮影スタッフらがキャンプ村を設営していたという。それが感動の演出のためだとしたら、「いったい、愛は何を救うつもりなんだ」と問いたい。

“カワイイ”には、少なくとも幾分かの愛情が込められている。ハンデをものともせず夢を叶えいようと努力する姿を応援する気持ちにも、愛情が含められている。しかし、これでは「愛は地球を破壊する」になってしまうではないか。これほど残酷なことはない。


公園での鳩の餌やりも、改めて言うまでもないが問題行為だ。鳩は本来自分で餌を探す。しかし人間が餌を与えることによて、栄養過多となり、繁殖が盛んになり増えすぎてしまう。餌をもらうことにより、自分たちで餌を獲得する能力が低下する。

増えすぎた、自分で餌を探す能力の低い鳩たちは、やがてバブルが破裂するように、数の是正が行われるようになる。


鳩の話は蛇足だったが、しかし、人は自然の領域に入りすぎたように思う。入り込んだ上に、その自然の領域に存在する規律を守らない。

今一度、ラインを引くべきだと思う。


ところで、話を台無しにしかねないが、素晴らしい写真集を見た。

日本一の写真集 ―歴史に彩られた建築物・自然美の風景

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  • 発売日: 2012/08/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


日本の風景は、なんて美しいんだろう。
日本の自然の美しさに心を奪われる。

この美しさを直に見たいという欲求は仕方がないが、だとしたら先方(自然)の境界に入るわけだから、先方のルールに従うべきだと思う。
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