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何のために約束を守るのか。 [妄想の日本史]

ある時から、お隣の家と仲が悪くなった。


どうやら祖父の時代に、ひと悶着あったらしい。お隣は祖父を「犯罪者」呼ばわりするが、実際、祖父は罪に問われたわけじゃないし、本人も冤罪だと主張している。
しかし、祖父が亡くなった今でも、事あるごとにお隣から犯罪者扱いされ続けている。

問題がこじれた原因は、父にある。
商売人だった父は苦労した甲斐もあって、相当な資産家になった。商売人の父は揉め事が嫌いだ。
父はわざわざ争いを大きくすることはない、誠実にやっていればいつか仲良くできる、そう主張して、幾度かお隣に謝罪してきた。時にお金も渡していたらしい。

私はそんな姿を見て、子供ながらに残念に思った。「なぜ、言うべきことを言わないのだろう」と。私は身内である祖父の身の潔白を信じているし、尊重したい。


謝罪したところで何が改善するわけでなく、お隣からの罵声はますます酷くなるばかりだった。
ある時から、お隣は私の家の庭にある花壇を、占拠しはじめた。


何が目的なのだろう・・・。最初は理解できなかった。


お隣は言う。「この花壇の場所は、本来ウチのものだ」。

意味がわからない。では裁判所に行こうといっても、

「その手にはのらない。裁判所には行かなくても、ウチのものであることは確かだ」

そう主張する。
父は困り果て、しかし事を荒立てることを嫌うので、そのまま放置していた。



それから数十年。この状況は現在でも続いている。
いや、ますます酷くなるばかりだ。

我が家も父が引退し、私が事業を引き継いでいる。が、不況のせいもあり、なかなか厳しい状況だ。とはいえ、まだまだ資産家といっていいくらいの力はある。
そんな我が家に、お隣は、物を売りつけることで生計を成り立たせている。いや、それは言いすぎかもしれない。ちゃんと他にもお客はいるようだ。しかし、我が家は上得意のひとつであることは確かだ。特に、私の妻と娘は、お隣のお得意さんだった。

妻と娘は、お隣から物を買うだけではない。お隣の息子はホストをしているらしいのだが、困ったことにその大ファンなのだ。お隣の息子は、私の妻や娘と話をするときには、これ以上ないくらいの笑顔をふりまく。

しかし、お隣の息子は、仲間たちと一緒になって、我が家の悪口を言っているらしい。ご近所で噂になっている。

妻や娘の前では愛想を振りまき、影では、いや、結構どうどうと我が家の悪口をいい、馬鹿にしているらしい。いい金づるくらいにしか見ていないのだろう。

我が家の商売がうまくいったのも、家柄も、学識も、全てお隣の影響で今がある、全てお隣の猿真似なのだと言いふらしているらしい。本当に意味がわからない。

さらに昨年の話だが、借金の保証人になってくれと言ってきた。どのツラ下げて言えるのだろうと私は憤ったが、私の居ぬ間に父がOKをしてしまった。
私は憤慨したものの、さすがにこれに懲りて、我が家への悪口は控えるようになるだろう・・・その時はそう思ったのだが、しかし、それは甘かった。


最近になって、突然要求がエスカレートしだした。

お隣は、花壇はウチのものだと言い、なんと花壇に自分の家の表札を打ち付けた。突然の奇行に唖然とする。
更に、亡くなった祖父のことで謝罪しろ、慰謝料を払えなどと言い出す始末。


更に更に、我が家の本家にあたる大叔父がいて、地元の名士として様々な活動をしているのだが、その大叔父に対し、我が家の件で謝罪しろ、でないとこのあたりを歩かせないぞ、とまで言い出す始末。空いた口がふさがらない。

私たちの尊敬する大叔父まで馬鹿にされたとあって、流石に父も、そして私の娘も目が覚めた。父はお隣に謝罪を要求すると言い、娘はもうお隣からモノは買わない、ホストにだって行かないと宣言した。

しかし、残念なことに私の妻は、今だにお隣の息子の肩をもち、
「家のゴタゴタと、ホスト遊びは別の話」
などと言っているが、我が家の家計にそんな余裕はもうないのをわかっていない。
ホスト遊びなどさせる余裕はない。だいたい日頃から影で馬鹿にされているのに、いったい幾ら貢ぎ、お隣の生活を潤すつもりなのだろう。

奴らはそうして我が家から設けた金でもって、駅前などに我が家を誹謗中傷するモニュメントを建設している。

奴らの行動が理解を超えているのは元からだが、今だに目をさまさない妻とは、今後の関係を考えなければいけないのかもしれない。


とにかく、我が家としては、このまま静観することは、もうやめた。主張すべきはするし、これ以上は図に乗らせない。大分遅いかもしれないが、我が家はやっと、まっとうに進み始めた。

○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*


・・・という感じだろうか?
以上は、妄想の歴史である。

腹は立つが、私の経験から言って、感情的になったときは間違った行動を起こしやすいことを知っている。

感情は重要だが、いったん感情は留保して、どのような行動が一番効果的かを考える必要がある。
また、長い目でみて、それは子々孫々に長期にわたって有利に働き、ご先祖に恥じぬ行動か、自問する必要がある。

高潔に生きろ。常に紳士たれ。外道に堕ちるな、道は踏み外すな。
なぜ高潔でなければいけないか。紳士である必要があるか。

これを考えるにあたり、参考になる言葉がある本に載っていた。
約束を守ることについての言葉だ。

「約束というものは、した相手の為に守るものではない。それを守る自分を人に見せる為にするのだ」

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馬鹿にはなるな、巧妙であれ。
賢く生きよう。
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